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【セイコーGGP】前日会見/北口榛花、田中希実、サニブラウンアブデルハキーム、橋岡優輝 など/Comments from the Athletes at the Press Conference
2024.05.18(土)「セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京」(セイコーGGP)は5月19日、東京・国立競技場で開催されます。本大会は、ワールドアスレティックス(WA)がダイヤモンドリーグ以外で世界最高の競技会として展開する「コンチネンタルチアー」シリーズの1つ。世界各地で行われているコンチネンタルツアーのなかでも、わずか12大会しか指定されていない最上位カテゴリの「ゴールド」として実施されます。
大会前日となる5月18日には、会場の国立競技場において、エントリーしている選手が、最終調整のトレーニングを行ったほか、午後からは国内外の注目選手が出席して、前日記者会見が行われました。3部構成で実施された会見には、海外選手2名と国内選手8名が出席。それぞれに現在の心境や体調、大会に向けての抱負を述べたのちに、メディアからの質問に応えました。
各選手のコメント(要旨)は、以下の通りです。
【第1 部】
・サニブラウンアブデルハキーム(東レ、男子100m) ※ダイヤモンドアスリート修了生
明日は、いつも通り、自分のやるべきことをやって、走るだけかなと思っている。
走り自体に関しては、いつも練習でやっている通りの走りをしっかりイメージして走れたらなと思っている。タイムに関しては、予選からしっかりと、(10秒00のパリオリンピック参加)標準記録を切るくらいを出していければと思う。
<参加標準記録(10秒00)突破、9秒台への現時点での距離感は? 質問に>
(参加標準記録や9秒台は)気づいたら出てるかなという感じでずっとやってきているので、(今の距離感は)「明日出せたらいいなあ」くらいの感じで、あまり気負わずにいこうかなと思っている。
<国立競技場でのレースに対する思いを、の問いに>
久しぶりに国立(競技場)に帰ってきて、「来年(の東京世界選手権)は(観客で観客席を)埋めたいな」と思った。今回も、いい走りができればなと思っている。
<ほかの2選手は、自分にとってどんな存在か、の問いに>
活動しているところは全然違うが、みんなで切磋琢磨して、頑張って日本の短距離界を引っ張っているメンバー。パリもみんなでこのまま4継(4×100mリレー)を組めればなと思っているし、ここから日本陸上界が発展するうえで、大事なキーメンバーになってくると思っている。みんなで頑張っていければなと思う。
・栁田大輝(東洋大学、男子100m) ※ダイヤモンドアスリート
明日は(予選・決勝と)2本あるので、しっかり今日から最大限の準備をして、2本をしっかり、走りをまとめられたらいいなと思っている。坂井さんに負けないようなスタートで飛び出して…(笑)、標準記録(である10秒00)というのは目標の一つになるかなと考えている。標準記録を意識しつつ、でも意識しすぎると硬くなるので、まずは自分の走りがしっかりできれば、標準記録も見えてくると思う。
<参加標準記録(10秒00)突破、9秒台への現時点での距離感は? 質問に>
僕も(参加標準記録、9秒台は)「そのうち出せる」というふうにずっと思ってやってきたので、そこまで意識しすぎるところはないのだが、条件さえ揃えば出せる状況にあるのかなと思っている。
<国立競技場でのレースに対する思いを、の問いに>
僕は、国立(競技場)でたぶん3回か4回、(自己)ベストを更新していて、非常に相性の良い会場。そういう面で、自分自身も記録にちょっと期待しながら走れるかなと考えている。
<ほかの2選手は、自分にとってどんな存在か、の問いに>
世界リレー(5月4~5日:バハマ)も一緒に走らせていただいたが、リレーだと本当に非常に頼もしい仲間だが、100mになると強敵になるので、負けないように僕も食らいついて、勝てるように頑張りたい。
・坂井隆一郎(大阪ガス、男子100m)
この前(※5月12日:木南記念、10秒20で優勝)やっと今季初戦を迎えることができ、明日が2戦目となる。レベルの高い大会で、周りの選手も調子を上げてきていると思うので、僕自身もあまり周りを気にせずに、自分の走りをしっかりすれば、自ずと結果はついてくるかなと思う。しっかり自分の走りができるように頑張りたい。
僕の武器はスタート。明日は2本あるので、2本ともスタートをしっかり決められるようにしたいし、そこを注目してほしいなと思っている。タイムについては、「このタイムを出す」というのを決めすぎると、自分の走りができないので、まずは自分の走りに集中できるようにしたいと考えている。
<参加標準記録(10秒00)突破、9秒台への現時点での距離感は? 質問に>
この冬季練習は、標準記録…10秒00を切ることを目標に取り組んできたので、(クリアする)自信はある。(突破への)距離感としては、行けるんじゃないかと思っているので、しっかりそこは狙っていきたい。
<国立競技場でのレースに対する思いを、の問いに>
国立競技場自体は、僕自身はそんなに走ったことがないのだが、大きな競技場だし、オリンピックも開催されたので、気持ち的には高まるものがある。その気持ちとともに、しっかりタイムも出せたらいいなと考えている。
<ほかの2選手は、自分にとってどんな存在か、の問いに>
リレーメンバーのときは本当に心強いのだが、100mになるとすごく強力なライバルになる(笑)。しっかり競い合って、いいレースができたらいいなと考えている。
【第2部】
・佐藤拳太郎(富士通、男子400m)
今年を占うような大事な1戦になるというのは間違いないので、しっかりと記録、形、どっちも狙って、いいレースができるように準備をしていきたい。400mの(フレット)レースは、明日が今シーズン初戦となるが、自分のやりたいこと、「レースでこういう動きをしたい」というのは明確に決まっている。(具体的には)400mを組み立てるうえで、私は、タイムというよりは、区間に分けて、その区間でやりたい動きをつくり上げるようにしている。まずは私が決めている第1区間でしっかりと加速に乗り、その後、そのスピードをしっかり維持し、200m過ぎから再加速というようなイメージで走ることができれば、記録は自ずと出てくると思っている。明日は、それをしっかりやりたい。
国内を問わず、強い選手が集まってくるのが、このセイコーゴールデングランプリ。そのなかで自分のやりたい動きだったり、自分のしたいレースだったりができなければ、パリオリンピックでそれを体現することはできないと思っているので、自分のやりたい動きを明日、表現できればと思う。
<明日のレースで見てもらいたいところは? の問いに>
400mは、特にスプリントのなかでも戦略性の高い種目。明日は出場した選手がフィニッシュラインを越えるまで、いろいろな戦略を楽しめるのではないかと思う。ゴールデングランプリは、国内の試合で、国際大会の雰囲気を感じられる大会。そういう試合は多くはないので、選手のレベルアップにもつながっていると思うし、とても大事な一戦になる思う。私もそういうものを感じながら、明日、しっかり走れればと思っている。
・田中希実(New Balance、女子1500m)
明日のレースは、東京オリンピック以来といえるくらいに、日本国内ではレベルの高い選手が揃った1500mになるんじゃないかと思う。そのなかで自分の存在感を示せるような走りがしたいなと思っている。
練習のなかでは、「今の状態は悪くはないかな」という感覚はあるのだが、今年はまだハマるレースに巡り合えておらず、去年よりも状態はいいシーズンだと思うのだが、大会になると練習での力や、それ以上の力を出すことが、今シーズンは去年以上にできていない感覚がある。明日は、その感覚を一致させるところがポイントになってくるかなと思っている。
私は、いつも7月、8月あたりから調子が上がってくるので、5月や6月というのは、まだ不安定なときが多く、そのなかで5月に開催されるゴールデングランプリに臨むことになる。ただ、国際大会ということでハイレベルだし、調子が安定しないなかでも、いいほうにもっていきたい大会の一つ。5月にこうした舞台で、結果についても、記録についても良い状態を示すことが、6月の日本選手権でしっかり調子を合わせて、確実にオリンピックの(出場)権利を取りにいくうえでは大事なきっかけになると考えている。
<明日のレースで見てもらいたいところは、の問いに?>
ゴールデングランプリは、私のなかではけっこういいイメージがある大会。観客の皆さんからは、「ラストスパートが注目される選手」と言っていただくことが多く、実際に、2020年あたりから、ラスト1周を大事にしてやってきた。ただ、「ラスト1周」と言われることは手の内を見せることにもなるので、「ラスト1周以外の何か新しい武器」が欲しいと、いろいろと試行錯誤してくるなかで、そのラスト1周もちょっとぼやけてきていて、今、自分の武器が自分でもよくわからない部部分がある(笑)状態。なので、「ここを見てください」と言うのがちょっと難しいところではあるのだが、東京オリンピックも行われた舞台でもあるので、あのときと同じような、ギラギラした自分というのを、あのときは無観客だったので、今度は生で見ていただけたら嬉しい。
・橋岡優輝(富士通、男子走幅跳)
明日の試合は、海外からも国内からもトップの選手が揃って、いい試合になると思う。自分自身の課題に向き合いながら、しっかり勝ちきれるように、一所懸命頑張りたい。
今季は、国内の試合(2戦:4月28日の日大記録会、5月12日の木南記念)を練習(の位置づけ)のような形でこのGGPまでやってきた。記録はふるっていない(1戦目:7m71、2戦目:7m83)が、自分のなかでは着々といいものつかめてきている。このGGPで、メンツの揃ったなかで集中力を上げて1本いいものがつかめれば、自ずと記録はついてくるのかなという感覚でいる。
僕はシーズン初戦(3月15日:ハリケーン招待、8m28)で、(パリオリンピック参加)標準記録(8m27)を突破することができたので、明日、「この試合で決めなければいけない」というほどのプレッシャーはないのだが、(セイコーゴールデングランプリは競技会)カテゴリもAだし、強い選手が揃っているなかで、しっかりと自分の力を示すことのできる、いい試合だなと考えている。ここから弾みをつけて、日本選手権とパリ(オリンピック)につなげていけるようにできたら…。ある意味、シーズンの初戦というか、意気込んでいくような試合と捉えている。
<明日の試合で見てもらいたいとことは? の問いに>
明日はしっかり跳びたいなと思っている。GGPの思い出としては、1つ挙げるとしたら、(跳躍スタイルが)シザースに変わった試合がGGPだったこと。そのシザースで、しっかり、一番遠くへ跳びたいと思う。
・村竹ラシッド(JAL、男子110mハードル)
明日は、日本勢も錚々たるメンバーが集まっているし、海外からも4人のメンバーが来日し、皆さん速い方々だが、もちろん勝つつもりで来ているので、しっかりいい記録を出して勝てるように頑張りたい。
前の試合の織田記念(4月29日:13秒29で優勝)の時と比べると、確実に状態は良くなっていることを感じている。織田記念は、大雨でコンディションもあまり良くなく、寒いなかでの試合だったので、いい評価をしていいのか悩むレースだったのだが、そのときよりは調子は上がっている。織田記念よりは良い記録は出せると思う。
明日は、パリオリンピックに向けて、いい弾みになる舞台だとは思うが、僕自身はまだ全然国内で試合をしておらず、今回が2戦目となる状態。(代表)内定が決まるのは日本選手権なので、もちろんそこにつながるようなレースをしたいと思うし、今回、海外からも参戦する選手がいるということで、日本国内では比較的インターナショナルなレースになるので、そこも踏まえて、海外の選手の雰囲気に負けず、しっかり走れたらいいなと思う。
<明日のレースで見てもらいたいところは? の問いに>
僕のハードルでの持ち味は、中盤から一気にスピードアップするところ。今日も、拠点で練習してきたが、中盤からすごくスピードアップしていけそうな感覚がつかめたので、本番でもそれをやりたいと思っている。見てくださる方には、中盤からの加速に注目してもらいたいなと思う。ゴールデングランプリに僕が初めて出場したのは、(順天堂)大学1年生のとき。国立競技場で行われたが、コロナ禍のために無観客での開催だった。これだけ大きな競技場で観客のいないという、すごく寂しい状態のなかで走った。今回、お客さんに来ていただけるということで、歓声のなかで走れるのをとても嬉しく思うし、だからこそ、いい記録を出して、皆さんを沸かせたいという気持ちでいる。
【第3部】
・北口榛花(JAL、女子やり投) ※ダイヤモンドアスリート修了生
今シーズンに入って、まだ、自分の身体が満足に動けているという状態での試合に臨めていないので、明日は、ある程度、動く状態で試合に臨めたらいいなと思っている。勝負もすごく大事だが、自分の今のコンディションをチェックできる試合にしたい。
(国内初戦となった)水戸招待(1位・61m83)以降は、とにかくコンディショニング重視で、自分の動かしやすい身体に少しでも近づけるように努力してきた。(デイビッド・シェケラック)コーチが来日してからも、「とにかくコンディショニング第一でやらせてほしい」ということを伝えた。思ったようにトレーニングできなかったかもしれないが、水戸のときよりは少し良い状態にはもってこられているかなという実感がある。
<韓国の記者からの、アジア人が活躍するのが大変な陸上競技において、周りからの期待やプレッシャーにどう対応しているか? の質問に>
私自身は、投てき種目で久しぶりに出てきたアジアの新しい選手だと思うが、たくさんの方に応援されていることがすごく力になっている。しかし、陸上の種目のなかで、アジアの選手が大きな大会にいるということは多くないので、今日、こうしてウ(サンヒョク)さんが東京に来てくれたことがすごく嬉しいし、ダイヤモンドリーグなどでもお会いすることができるので、とても嬉しい。(ウ選手の活躍は)力になっているし、「自分も頑張りたいな」と思える目標(の選手)だと、勝手に思っている(笑)。(走高跳もこれまでは、やり投と同様に)アジア人が1位になれる種目ではなかったと思うが、(ウ選手は)それを目指しているので、私もアジア人の枠を少しでも超えられるように頑張っていきたい。
・フロル デニス ルイス ウルタド(コロンビア、女子やり投)
とても今、モチベーションが高い状態で臨んでいる。明日の大会では、いい結果を出して、そしてパリ(オリンピック)につながるような結果を出したいと思っている。
<ともに戦う北口選手の印象と、北口選手のホームである母国で戦う意気込みを問われて>
北口選手の国である日本に来られて誇りに感じている。私は、先週行われたブラジルの大会(5月12日:イベロアメリカ選手権)で66m70のパーソナルベストをマーク(=南米新記録、今季世界最高)できており、それをパリ(オリンピック)につなげたいという気持ちが強くある。そのなかで、北口選手の母国で競技できることを嬉しく思うし、そして、もともと日本で大会に出場したいという夢を持っていたので、それが実現できて、とても感激している。
<66m70の自己記録をマークできた要因を問われて>
自己記録を更新できたのは、テクニック面の要素が大きかったと思う。数カ月前にケガをしていたこともあり、もちろんフィジカル面のトレーニングにも取り組んできたが、特に、コーチとともに技術面の向上を目指した練習に取り組んできたことが大きく影響していると考えている。メンタル的にも、フィジカル的にも、非常に良い状態にあり、そうしたことが、66m70という自己記録の更新につながったと思っている。
・ウ サンヒョク(韓国、男子走高跳)
昨年に続いて、セイコーゴールデングランプリに参加することができて、とても嬉しく思う。今年は、8月にパリオリンピックがあるので、ベストを出せるように頑張りたい。
先週、カタールで行われた「What Gravity Challenge」(※5月9日:男子走高跳のムタズ・エッサ・バルシム選手が主導して開催したことで話題を呼んだ走高跳競技会)に出場した(2位・2m31)。明日は、そのときよりも良い成績を出したい。
私は、2021年に開催された東京オリンピックでは、いい成績を上げることができた(※自己記録を大幅に更新する2m35をマークして4位に入賞)。その会場と同じ国立競技場で、明日また、試合に臨めることに、とてもワクワクしている。金メダルを目指して頑張りたいと思っているパリオリンピックに向けての成績も、ここまで順調にクリアしてきているので、明日は、3年前の東京オリンピックで頑張ったときの気持ちを思い出しながら、ベストを尽くしたい。
<高い水準の記録を安定できるようになったのは、東京オリンピックでの結果がきっかけになっているのか? との問いに>
3年前の東京オリンピックの経験が大きな自信となって、大会前後で大きく変化したことは私自身も感じている。東京オリンピック前はケガなども多かったが、東京オリンピック後はケガがほとんどなく、計画的なトレーニングを継続して積むことができるようになった。そのことによって2m30以上という記録を維持することができ、さらに2m35といった記録を跳んだり、世界的なレベルで競技したりすることができているように思う。
大会当日は、11時45分に観客ゲートが開場となり、12時00分からオープニングセレモニーが行われます。男子9種目、女子6種目の全15種目で決勝が予定されている競技は、女子三段跳が始まる12時30分からスタート。トラック種目は、男子100m予選がスタートする14時33分からタイムテーブルが進んでいきます。
スタジアム周辺では、WAが推進する「KIDS’ ATHLETICS DAY」のイベントとして、中学生以下の子どもを対象としたタイムトライアルイベント「ワールドマイルチャレンジ(10mチャレンジ)」を実施するほか、各スポンサーによる体験型ブースや人気店によるキッチンカーの出店も。さらに毎年10月開催の「みんなでつなごうリレーフェスティバル」で実施して大きな反響を集めた「みんなでつなごう! 3Rのバトンプロジェクト」(使わなくなったスポーツ用品のリサイクルや再利用を促進させる取り組み)も、このセイコーGGPで行われることになりました!
また、メインスタンド側座席の来場者には、特典として、先着1000名様に、大会オリジナル「スタジアムクッション」のプレゼントも用意しています。
これらの情報のほか、タイムテーブルやエントリーリスト、結果速報などの競技情報、さらにはより競技を楽しむための話題の数々が、大会特設サイト(https://goldengrandprix-japan.com/ )に盛り込まれています。ぜひ、観戦にお役立てください。
また、競技の模様は、14時30分~16分24分(予定)にTBSテレビにおいて生中継されるほか、U-NEXTでは、12時10分から独占生配信の予定。これらについても詳細は、上記特設サイトにて、ご確認ください。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)