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【HTTP in 横浜】実施レポート:横浜出身の薄田健太郎・矢澤航がキッズデカスロンチャレンジに登場!

2023.06.30(金)


日本陸連が、ウェルネス陸上(すべての人がすべてのライフステージにおいて陸上競技を楽しめる環境をつくる)の実現に向けた施策の一環として推進している「キッズデカスロンチャレンジ」と「Home Track Town Project(HTTP)」のコラボレーションが実現! 5月21日に行われた「セイコーゴールデングランプリ陸上2023横浜」の場外スペシャルイベントとして、Home Track Town Project in 横浜(HTTP in 横浜)が行われ、競技開始を待つファンを楽しませました。

「キッズデカスロンチャレンジ」は、十種競技(デカスロン)に因んで命名された多種目の基本運動(走・跳・投)にチャレンジする日本陸連の子ども向けプログラム。「子どもたちに、陸上の楽しさを体験してもらおう!」という思いのもと、日本選手権や日本グランプリシリーズといった国内主要大会のサブイベントとしても、以前から実施されていて、「デカチャレ」の通称で人気を集めています。
今回の「セイコーゴールデングランプリ(GGP)」においても、競技会場である日産スタジアムでは、観客席入場口に近い広場にエリアが設けられ、小学生以下の子どもたちが、楽しみながら「走る」「跳ぶ」「投げる」の3種目を体験しました。

このデカチャレとタッグを組む形となったのが、日本陸連が新たに推進していこうとしている「Home Track Town Project(ホームトラックタウンプロジェクト):HTTP」です。HTTPは、人々の生きがいや日々の活力となるような新しい陸上のかたちを、地域の人々と一緒に創りだしていこうとするプロジェクト。競技場を飛び出して、街中などのさまざまな場面で気軽に陸上やスポーツと触れ合ったり、トップアスリートと交流したり一緒に陸上を体験したりすることによって、より多くの人々に陸上の魅力や身体を動かす楽しさを知ってもらうとともに、全国各地で開催される陸上競技会やスポーツイベントの盛り上げや、地域の活性化に貢献することを目指しています。
横浜市出身のアスリートをゲストに招き、大会を後援する横浜市のバックアップも得て、地域の子どもたちと交流しながら、一緒にデカチャレに挑戦するスペシャルイベントを開催。子どもたちに陸上の楽しさや面白さを実際に体験してもらったうえで、その後、スタジアム内で行われるトップアスリートのパフォーマンスを、より興味を持って観戦してもらおうと企画されました。

「HTTP in 横浜」として開催されたスペシャルイベントは、メインスタジアムが開門され、競技が始まるまでの時間帯で行われました。デカチャレを行っていたスペースが、イベント会場へと早変わり。そこに、横浜市内に住む小学生以下の子どもたち約90名が集まりました。一緒に来場したお父さんお母さんは、少し離れた位置から様子を見守ることになりましたが、ナビゲーターを務めたDJケチャップさんによるテンション高めの盛り上げに、子どもたちも一気にリラックス。会場のムードは、イベントモードへと切り替わりました。





まず、HTTPの実行委員長を務める横田真人さん(日本陸連 強化委員会企画戦略部ディレクター)が、HTTPがどんなプロジェクトであるのかを説明したのちに、DJケチャップさんの呼びかけで、横浜市出身のゲストアスリートが登壇。男子800mで成長著しく、今後の躍進が期待されている薄田健太郎選手(横浜DeNAアスレティックスエリート)と、現役時代に2016年リオ五輪出場をはじめ男子110mハードルで中学時代から長年にわたりトップハードラーとして活躍し、引退後はアスリートや大会のサポートに従事している矢澤航さん(デサント)の2人が、颯爽と姿を現しました。それぞれのプロフィールが紹介されるなかで、実際のレースで使われるハードルも披露。子どもたちは、男子110mハードルで選手たちが実際に越えていくハードルの、106.7cmという高さを間近で目にして、驚きの表情を見せていました。

薄田選手と矢澤さんが、それぞれに紹介した身体をほぐす方法で、軽くウォーミングアップを行ったあとは、いよいよデカチャレに挑戦です。「投げる」「跳ぶ」「走る」の順に、DJケチャップさんの、「やってみたい人!」の声に手を挙げた子どもたちが、チーム薄田とチーム矢澤の2つに分かれて、「ターゲットスロー」「トリプルジャンプ」「10m走」の3種目にチャレンジしました。



「投げる」に挑戦するターゲットスローは、全国小学生陸上競技交流大会で行われているジャベリックスローに用いるジャベボールを、10m先にある的に当て、当たった的の数字を合計して勝負するもの。ジャベボールは、投げたあとの飛び方で投げる方向や角度が合っているかを把握しやすいことが特徴で、まっすぐ飛ぶと「ヒュー」という音がします。力の加減が意外と難しく、薄田選手や矢澤選手もうまく投げるのにひと苦労。投げたあとに首を傾げる場面もみられました。狙う数字にうまく当てるのも難しく、小学生チャレンジャーたちが投げるたびに、イベントの様子を見守っていた観客からも歓声が上がりました。



次に行われた「トリプルジャンプ」は、「跳ぶ」に挑戦する種目です。ステージ上にあたる場所に設置された10mの走路に、男子走幅跳の日本記録8m40(城山正太郎、2019年)、女子走幅跳の日本記録6m86(池田久美子、2006年)の距離が示され、立ち幅跳びを3回跳んだ合計距離で、この日本記録に挑もうというもの。GGPでは、男女ともに走幅跳が実施されることになっていて、実際に挑戦した子どもたちだけでなく、エリアの外から観覧していた人々も、改めて、8m40、6m86という日本記録の距離を実感し、走幅跳のすごさを認識する形となりました。



最後に行われたのは「走る」に挑戦する「10m走」です。ここでは、GGPの各レースで実際に用いられるセイコーの計測システムを使用してタイム計測を行う豪華なしつらえのなかでレースに挑むことができます。チャレンジした子どもたちは、DJケチャップさんによる、実際のレース以上に大々的なレーン紹介を受けたのちに、「オン・ユア・マークス、セット」のコールから雷管の音に合わせてスタート。わずか2秒弱ながら歓声を浴びて走り、フィニッシュ直後に示された電光掲示板のタイムには大きな拍手と、まるでGGPに出場したような気分を味わいました。



デカチャレで大いに盛り上がったあとは、ゲストアスリートたちとの交流コーナーです。薄田選手と矢澤選手は、子どもたちからの、「速く走るにはどうしたらいいですか?」という質問や、DJケチャップさんからの「陸上以外で、どんなスポーツをやっていた?」「子どものころは何をして遊んでいた?」「陸上を楽しむポイントはある?」などといった質問に答えていきました。





その後、このイベントの直後に開幕するGGPの話題へ。「見たい選手、楽しみにしている選手は?」という投げかけに、子どもたちからは「桐生祥秀選手(日本生命、男子100m)!」「田中希実選手!(New Balance、女子1500m)」「秦澄美鈴選手!(シバタ工業、女子走幅跳)」「フレッド・カーリー選手!(アメリカ、男子100m)」と、次々にトップ選手の名前が挙がりました。
DJケチャップさんから、注目種目を聞かれると、矢澤選手は「世界のトップ選手がたくさん出場してくるやり投をぜひ見てほしい」、薄田選手は「自分が中距離をやっているので、やはり女子1500mを見てほしい」と、それぞれに“推し種目”をコメント。DJケチャップさんが、「今、聞いたことを参考にしながら、みんなで応援しよう」と呼びかけ、最後に、子どもたちがゲストアスリートとハイタッチして、イベントは終了しました。




文:児玉育美(JAAFメディアチーム)


【Home Track Town Project について】



私たちは全国各地で開催される陸上やスポーツのイベントを盛り上げ、地域を活性化させるとともに、人々の生きがいや日々の活力となるような新しい陸上のかたちを地域の皆様と一緒に創り出していきたいと考えています。「走る・跳ぶ・投げる」スポーツの基礎となる陸上は、身体を動かす楽しさを気軽に体験することが出来るスポーツの1つです。

競技場を飛び出し、地域や街中で陸上やスポーツと触れ合う機会が増えれば、その楽しさを、多くの人に身近で感じてもらうことができます。
陸上競技場の外で多くの方がスポーツに触れ、楽しむことのできるイベントを実施することで、走ることが苦手な人も、身体を動かすことができない人も、スポーツをするだけではなく、見る(声援を送る)、支える、それぞれの形で、すべての人がスポーツに関わるきっかけとなり、人と人との繋がりや、スポーツの楽しさなど、新たな発見が生まれることを期待しています。