男子100メートルは、ジャスティン・ガトリン(37=米国)が追い風1・7メートルの中、10秒00で優勝した。 日本勢トップは、日本人初の9秒台(9秒98)スプリンター桐生祥秀(23=日本生命)。ガトリンと最後まで競り合い、10秒01のシーズンベストで2位に入った。 小池祐貴(24=住友電工)は、自己新となる10秒04で4位となったが、期待の山縣亮太(26=セイコー)は、10秒11で5位に終わった。 ◆ガトリンの話「シーズン最初のレース。リハビリで回復に努めてきた中、桐生から良い挑戦があった。ここ数年、日本人と戦ってきて、多田のスタートと桐生のフィニッシュの強さに負けないようにした。世界選手権はすでに代表に入っているので、全米選手権はスピードをテストする。来年の東京五輪がおそらく私の最後のキャリアになると思うので、1年、1年しっかり戦っていきたい」
男子200メートルは、マイケル・ノーマン(21=米国)が向かい風0・4メートルの中、19秒84の大会新で優勝した。 400メートルで今季43秒45の世界歴代4位タイをマークしているノーマンは、母親の故郷日本で好走。秋のドーハ世界選手権、来年の東京五輪に弾みをつけた。 ◆ノーマンの話「シーズン最初のレース、しかも200メートルの海外レースで、タイムには満足している。でも、レース運びはOKだったが、アグレッシブさが足りなかった。母の故郷日本で初めて走ったが、2020年に向けての素晴らしい経験になった。日本のおいしいものを食べ過ぎないように考えたい。400メートルで43秒を切るのが大きな目標で、期限を切るのは難しいが、うまくいけば今年か来年にできると思う。今回の世界選手権は400メートルのみに出場しようと思っている。まだ、プロとして歩み始めたばかりなので、ひとつにフォーカスした方が良い。今後、プロとして円熟味が増してくれば、2種目も視野に入ってくるだろう。メダルを見据えて計画を練っていきたい」
男子400メートルは、バーノン・ノーウッド(26=米国)が45秒79で優勝した。 リオ五輪日本代表のウォルシュ・ジュリアン(22=富士通)は、46秒29で2位だった。 ◆ノーウッドの話「調子が良かったので勝ちにいった。結果には満足している。ファンのエネルギーがとても良かった。世界リレーから滞在している日本を去るのは悲しい。また戻ってきたい。世界選手権に向けては、アメリカの400メートルにはライバルが多いので、チームに入れたら満足だ」
男子800メートルはジョナサン・キティラト(25=ケニア)が1分46秒37で優勝した。 日本記録保持者の川元奨(26=スズキ浜松AC)は、1分48秒00で7位に終わった。 ◆キティラトの話「1分44秒くらいで走りたかったが、このトラックは風の影響がある。でも気候も良く、勝てて良かった。ケニアで800メートルの世界選手権代表になるには、厳しい戦いが待っているが、うまく計画して代表に選ばれたい。そして、選ばれたら表彰台を狙う。2020年はまず、世界選手権をこなしてから、改めて計画を練りたい」
男子3000メートル障害は、ケニア人留学生のフィレモン・キプラガト(17、倉敷高)が、8分22秒65の今季最高をマークして優勝した。 高校駅伝優勝の立役者でもあるキプラガトは、積極的なレース運びでゲトネト・ワレ(18=エチオピア)との十代対決を制した。
男子110メートル障害は、泉谷駿介(19=順大)が追い風2・9メートルの参考記録ながら、13秒26の好タイムで優勝した。昨年のU20世界選手権3位の泉谷は、期待通りの走りで、15年ユニバーシアード優勝のグレッグマー・スイフト(28=バルバドス)らを置き去りにした。
男子400メートル障害は、豊田将樹(21=法大)が50秒38で優勝した。 豊田はリアクションタイムが出場7選手中、最も遅い0・349だったが、若さで逆転した。
今大会で最も注目の男子400メートルリレーは、日本(多田、山縣、小池、桐生)が38秒00で優勝した。11日の世界リレー(横浜)では、まさかのバトンミスで失格したが、今回は好走した。 2位には38秒73で、米国オールスター(ベルチャー、ガトリン、ウィリアムズ、バレル)が入った。
男子走り高跳びは、戸邊直人(27=JAL)が2メートル27で2連覇を果たした。今季2メートル35の日本新をマークし、世界室内ツアー総合優勝も飾った戸邊。この日も勝負強さを見せた。
男子棒高跳びは黄博凱(22=中国)が、5メートル61で優勝した。 9月に39歳を迎える沢野大地(富士通)は、5メートル41で4位だった。 ◆黄の話「最初は風向きが変わって、すごく心配したが、やっていくうちに自信がついて記録が出せた。目標は(5メートル71の世界選手権参加)標準記録突破だったが、風も強かったので、自分の力を出せれば良いと考えを変えた。今後は中国国内のライバルを気にするよりも自分に勝つことが大事。世界選手権、五輪も視野に入れて頑張るが、将来は世界のトップに立つのが目標だ」
男子走り幅跳びは、山川夏輝(23=東武トップツアーズ)が向かい風0・2メートルの6回目に7メートル87を跳び、優勝した。今季、日本記録の8メートル25まで3センチに迫っていた橋岡優輝(20=日大)は、7メートル80で3位だった。
男子3段跳びは、オマー・クラドック(28=米国)が向かい風0・4メートルの2回目の試技で、17メートル16をマークして優勝した。 ◆クラドックの話「観客の声援が素晴らしく、すごく楽しかった。体力が付き、体調も良いので、あとは神様次第だが、引き続き、この調子で行きたい。今季は17メートル68の自己新(今季世界最高)も出せたので、これを世界選手権のメダルにつなげたい。オリンピックはロンドン、リオに出られなかった。だから東京にはしっかり準備して出場し、メダルを持って帰りたい」
男子やり投げは、エディス・マトゥツェビチウ(22=リトアニア)が、6投目に84メートル55の好記録をマークして優勝した。 日本期待の新井涼平(27=スズキ浜松AC)は、目標としていた83メートルの世界選手権参加標準記録には遠く及ばず、78メートル34で3位に終わった。 ◆マトゥツェビチウの話「この大会は観客の声援が良く、とても気に入った。最後の一投がとくに飛んだのは、観客のサポートのおかげだと思う。今後の最大の目標は、全てのやり投げ選手の目標である100メートルを飛ばすこと。そのためにはスピード、パワー、技術の全てを向上させる必要がある。何より安定した技術を身に付ければ、結果も上がっていくと思う」